2021 年 30 巻 4 号 p. 432-438
自然史資料の体系的な収集・整理を目指す自然史系博物館は,自然界の事象を記載することを目的とした自然史系科学の活動の中心として,過去数世紀にわたり活動が継続されてきた.近年,自然史系博物館に集積された資料の画像や属性情報について,データベース化とインターネット公開を通じた地球規模での共有と利用が進みつつある.この変革は,新たな共有手法の導入に留まらず,学問への参入障壁を下げ,研究人口の広がりを促す点で学問分野の強化にも繋がりうるものと考えられる.本発表では,生物多様性情報を中心とした自然史系学術情報流通の現状と展望について考察する.