2009 年 2009 巻 604 号 p. 604_45-604_60
保険自由化10年は,保険商品の多様化や業者間競争の変容等をもたらし,消費者利便を向上させた面とともに,かえって混乱を招いた面や期待された消費者利益に結びついていない面がある。開示面での改善も,いまだ消費者が十分に活用できるものとは言い難い。他方,変額保険被害や,保険会社の破綻,保険金の不払い等が顕在化し,消費者の不信は深まってきたともいえる。
現行勧誘規制の実効性の検証や販売体制のあり方の検討が必要である。その際,不招請勧誘禁止論の問題意識をふまえる必要がある。勧誘規制の中核は適合性原則であるが,顧客調査義務(ノウ・ヨア・カスタマー)とともに,商品調査義務(ノウ・ヨア・プロダクト)が強調されるべきである。消費者からの信頼を回復するために,プーリング機能に純化(アンバンドリング)したもののみを保険と呼称して不招請勧誘禁止を解除する等,創意工夫が求められていると考える。