保険学雑誌
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遺族厚生年金保険の受給資格としての「配偶者」
高崎 亨
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2009 年 2009 巻 606 号 p. 606_121-606_136

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抄録

本稿は,近時の最高裁判決2件を参考に,遺族厚生年金保険の受給者としての「遺族」,「配偶者」性を検討することを目的とする。
わが国の厚生年金保険法は,戸籍上の配偶者だけでなく,内縁配偶者にも配偶者性を認め,遺族年金受給資格を付与している。しかし,法律上の配偶者と同様の保護を受けるにあたって,重婚的内縁関係や近親婚的内縁関係にまで,その射程を広げうるかには議論のあるところである。
本件最高裁判決は,上記いずれの場合も例外的に社会保険上の保護(年金給付)が及びうることを示した事案であり,その共通する要素としての実体,扶養関係に着目して検討した。本稿では,遺族年金受給者としての「配偶者」性が,婚姻法秩序を原則としながらも,例外を認めて拡大している点を,政策的判断として評価できると結論付けたが,課題もあることを付言した。

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© 2009 日本保険学会
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