保険学雑誌
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生命保険経営の企業価値創造
岩瀬 泰弘
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2009 年 2009 巻 606 号 p. 606_21-606_40

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抄録
生命保険会社の企業価値を自由化以降の実績値を基に巨視的に捉えた。損害保険の経営分析に用いたEVAで見た場合,生命保険会社は株主資本の増強とともにEVAが向上しており健全な経営状態にある。今後の課題としては商品別リスクキャピタルの算定と統合的リスク管理が挙げられる。
現在,保険会社の資本要件についてはRBC規制と最低ソルベンシー基準の2つが採択されている。しかしながら米国金融危機を契機とし“保険会社の企業価値は投下資本の収益率のみならず保険負債を含むリスクキャピタルの精査が必要である”との認識で収斂することも考えられる。
生命保険は超長期の契約を主体としており,1年契約を主体とする損害保険と必ずしも同一に論じることはできないが,利益と資本コストを結び付けたEVAによる分析は生命保険会社の経営戦略を探る上で有益な手法の1つであると思われる。
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© 2009 日本保険学会
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