保険学雑誌
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規制緩和後の保険業における企業会計と情報開示
上野 雄史
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2010 年 2010 巻 611 号 p. 611_41-611_60

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抄録

本稿では,規制緩和後の保険業の情報開示の変化を,企業会計に関する問題を中心に論じる。金融監督行政は,市場規律に即した事後的な検査にシフトした。これに伴い,保険業においても財務諸表により作成された会計情報の重要性が増し,他業種との比較可能性が高まった。ただし,保険業の情報開示は,他業種との比較ではなく,同業種との比較に焦点が当てられていた。保険業には時価会計に関する緩和措置が設けられる一方で,ソルベンシー・マージン比率およびその内訳が一般に公表され,同業種間で健全性の程度を競うことが求められている。これは保険業の特性を配慮したためと考えられる。しかし,こうした取り扱いは,将来的には認められなくなる可能性が高い。保険会社に対する諸規制は,監督規制と企業会計の両面から国際的な枠組みが形成されつつある。その変化の大きさは,1995年の保険業法改正から始まった規制緩和を上回るものかもしれない。

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© 2010 日本保険学会
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