抄録
米国生命保険会計には,保険監督官向けの法定会計であるSAPと,投資家向けのGAAPとの異なる会計基準がある。財務諸表は,現在も全生保がSAPを単体ベースで作成し,上場生保はGAAPを連結ベースで作成している。1996年からは,SAPの財務諸表に対して公認会計士からの適正意見が付かなくなっており,相互会社は,アニュアルレポートにおいてSAPの財務諸表を開示しているが,公認会計士の意見は載っていない。GAAPにおける有価証券の会計処理は,投資方針を反映した各社区々の対応をしている。また,保険会計のGAAPにおいてはIFRSと整合性をとった会計基準を協力しながら作成しようとしており,資産側だけでなく負債の時価評価も取り入れようとしているが,2011年6月完成の予定だったものの,まだ完成していない。米国の監督当局は,IFRSやヨーロッパのソルベンシー規制にどのように対応すべきかを検討している。