保険学雑誌
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「グローバリゼーションと保険会社の海外進出」―平成23年度大会シンポジウム―
アジアにおける生命保険事業展開
谷口 哲也
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2012 年 2012 巻 616 号 p. 616_23-616_40

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抄録
日本の生保は,少子高齢化の進展による死亡保障の市場規模縮小の中で,国内市場における持続的な成長への取組を続けながら,生保事業の海外展開を模索し,さらなる収益力向上に向けた動きを見せている。展開先としては,人口,経済成長性,保険普及度に着目すると,アジア地域の潜在的な成長性の高さが注目される。しかし,こうした地域の市場規模はまだ小さいため,成熟市場の収益性とのバランスを取りながら海外展開を図る必要がある。
海外展開を図る際には,こうした成長性・収益性といった「事業」としての側面のほか,「生命保険」の本来的な社会的意義という側面にも目を向けたい。現在のアジア諸国は貯蓄性商品が中心だが,日本の生命保険市場の発展経緯を振り返ると経済成長とともに段階的に保障機能が充実してきている。各国の状況を見極め,日本の生保はその強みを活用し,アジア各国の生命保険市場の発展と社会基盤整備に貢献することができると考える。
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© 2012 日本保険学会
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