保険学雑誌
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「グローバリゼーションと保険会社の海外進出」―平成23年度大会シンポジウム―
日中および相互・株式会社間の効率性比較からみた相互会社の国際化の評価
久保 英也
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2012 年 2012 巻 616 号 p. 616_51-616_69

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抄録
日本の保険会社は停滞する自国市場に危機感を感じ,海外での保険の引き受けを企図している。それを読み解くポイントを相互会社の海外進出と海外市場で戦える効率性の有無とに置き,分析を進めた。
その結果,(1)金太郎飴のような国内戦略に対し海外戦略には独自性があり,海外の常識が日本の本社にも流入し,グローバルな経営力を有する保険会社が誕生する期待がある。(2)「相互牽制」は世の中の摂理であり,株式会社と相互会社の並存が互いに刺激し合い,牽制しあい,生命保険業界の健全な発展に寄与する。また,日本では相互会社の効率性が株式会社より高い。(3)中国を例に確率的フロンティア生産関数で算出した保険会社の効率性は日本の保険会社に優位性がある。
一方で,日本の保険会社の海外進出における最重要課題は,現地化を推進できる人材の「質」と「量」の確保である。多くの中国の留学生を抱える日本の大学と保険業界の協業を本気で考える時期にある。
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© 2012 日本保険学会
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