抄録
現在わが国では,若年世代を中心に公的年金未納・未加入が社会問題になっている。先行調査・研究から,公的年金未納・未加入者は年金理解度が低い傾向があることが示唆されている。そのため,年金未納・未加入問題を解決するという観点からも,年金理解度が低い人々は,不足する年金理解度を補うため,年金教育需要が高いことが望まれる。年金理解度と年金教育需要の間には,どのような関係があるのであろうか。
本研究では,独自のアンケート調査データに基づき,年金教育需要に影響する要因を明らかにすることを研究目的とした。分析の結果,年金理解度の低い人々ほど,むしろ,年金教育需要は低いことが明らかになった。年金理解度の低い人々が自発的に年金教育を需要することは見込みにくいため,仮に学校教育現場で年金教育を実施するのであれば,任意ではなく強制実施することが必要であると考えられる。