抄録
2011年3月11日に発生した東日本大震災においては,迅速な地震保険金の支払いに向けた工夫,車両保険の免責への不満,液状化被害への損害査定方法,原発周辺地域の家屋への損害査定など,様々な問題が発生した。行政としては,損害保険会社との間で意思疎通のレベル,頻度を最大限に上げて,支払い現場の知恵に基づく提案や創意工夫を促し,それを最大限尊重して実現することにより,これらの課題を一つ一つ乗り越えて行った。
本稿は,これらの課題とそれへの対応の経緯を記録することに加え,今回の震災対応を通じて得られた教訓,例えば,個別の契約者や,マスメディア,議会等の関係者への丁寧な説明の重要性や,当局としても被災地を回って現場の方々から直接声を伺うことの重要性などが,今後の災害対応に少しでも活かされることを趣旨とするものである。