保険学雑誌
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東日本大震災特集号
PWR原子力発電プラントの特徴
-東京電力福島第一原子力発電所事故の観点から-
浜崎 学
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2012 年 2012 巻 619 号 p. 619_241-619_259

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抄録
東京電力福島第一原子力発電所(沸騰水型軽水炉,BWR)の事故は,東日本大震災による巨大津波という共通原因によって,最終的な熱の逃がし場(ヒートシンク)と安全設備を支える電源系が広範に機能を喪失したこと(クリフエッジ効果)が直接の原因であった。加圧水型軽水炉(PWR)プラントは,蒸気発生器(SG)によって主蒸気系を原子炉冷却系から隔離しているため,同様の津波に襲われて電源を喪失したとしても,放射性物質を含まない蒸気を大気放出することで最終ヒートシンクを確保でき,自然循環によって原子炉を冷却できるという優れた耐性を有する。更に,今回の事故の教訓を反映し,電気設備等の水密化,非常用発電機の高台設置等の津波対策を進めており,格納容器による深層防護の強化も計画している。今後も,世界最高水準に安全性を高めたPWR技術によって低炭素エネルギー源の確保に貢献していく所存である。
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© 2012 日本保険学会
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