保険学雑誌
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暴力団排除条項と保険契約
藤本 和也
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2013 年 2013 巻 621 号 p. 621_89-621_109

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抄録
暴力団排除条項は,保険契約から反社会的勢力を排除するため,保険法における重大事由解除の包括条項を具体化したものと整理し保険約款に導入された。しかし,重大事由解除に位置づける理論的根拠,暴排条項未導入の旧約款契約における解除の可否等,未だ十分に議論されていないと思われる論点もあることから,これらの整理を試みることが本稿の目的である。
反社に属すること自体,保険金不正請求を招来する高い蓋然性を有している。保険法はモラル・リスク排除のため反社該当という属性要件の充足のみで保険契約の重大事由解除を許容している。したがって,保険法は重大事由解除における包括条項の具体化である暴排条項も許容している。暴排条項が導入されていない旧約款に基づく保険契約については,理論上,保険法における重大事由解除規定を直接の根拠として,反社属性をもって解除を行うことが許容されると考える。
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© 2013 日本保険学会
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