保険学雑誌
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生命保険契約における災害関係特約の約款改訂
清水 太郎
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2013 年 2013 巻 622 号 p. 622_123-622_139

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抄録
従来の生命保険契約における災害関係特約約款は,分類提要を引用していること等より,消費者保護の観点から批判されてきた。そこで,今般改訂された約款は,特に消費者に分かりやすい約款を意識してこれを削除し,また,不慮の事故の3要件の定義も設けている。
無論,これで全ての問題が解決したわけではない。今後の裁判所の判断に依拠するところでは偶発性の立証責任がいずれに課されるか,仮に保険者に課されるとした場合の対応如何,約款規定の問題としては不作為の外来性を担保するのか否か必ずしも明確とは言えないこと,事案の柔軟な解決に適しているとされる限定支払条項の不採用,曖昧な「軽微な外因」の存続等の問題点が残されており,これ以降もよりよい約款とするための検討が必要である。
しかしながら,この改訂された約款は消費者に分かりやすい約款という観点から一定の評価はされうるものと考えられ,今後の運用に期待するものである。
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© 2013 日本保険学会
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