保険学雑誌
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「医療保障制度と官民の役割分担」―平成25年度大会共通論題―
国民の意識が規定する官民役割分担
-がんをめぐる日本の状況と「公平性」の概念を題材に-
宮地 朋果
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キーワード: 国民性, 公平性, がん
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2014 年 2014 巻 625 号 p. 625_93-625_110

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抄録
各国が選択している医療保障制度や官民役割分担のあり方は,その国々の歴史,文化,国民性,国民の意識や価値観など,あらゆる要因の影響を受ける。したがって,単純に比較や模倣,導入をすることは困難であるし,誤った方向につながるおそれもある。民間保険においては,「公平性」や「平等」の概念をどのように考えるかによって,適正なリスク区分が変わってくる。また,「公平性」や「平等」の判断基準は,客観的な事実のみならず主観的な要因にも左右される。これと同様に,医療保障制度をめぐる官民役割分担を考察する際にも,国民が「公平性」や「平等」について,いかなる価値基準を持っているかが重要になる。国民の意識の変化により,適正な官民役割分担や,国民の負担のあり方も変わってくるからである。したがって,医療保障制度の設計や望ましい官民役割分担を考察するうえで,国民の意識が及ぼす影響について検討することは不可欠と言える。
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© 2014 日本保険学会
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