保険学雑誌
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米国の団体生命保険
-米国中間層の重要な死亡保障獲得手段-
松岡 博司
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2014 年 2014 巻 627 号 p. 627_63-627_83

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抄録
1911年の第一号契約以降,100年を越える歴史を有する米国の団体生命保険は,企業が提供する福利厚生の重要な一項目として扱われたこともあり,第二次世界大戦後,大きく発展してきた。そのため,個人生命保険が死亡保障獲得の主たる手段である日本とは異なり,米国では団体生命保険が,中間層の人々が死亡保障を獲得する上での有力手段となっている。近年,金融危機後の景気後退による企業業績や雇用環境の悪化を受けて保有契約高が縮小するなど,米国の団体生命保険は厳しい状況にあったが,米国経済の持ち直しとともに再び安定的な業績に回帰することと考えられる。しかし大企業および中堅企業マーケットの飽和に伴う小企業マーケットへの進出と競争激化,全般的な価格競争等の厳しい状況は今後も継続すると考えられる。米国生保市場では,従業員が保険料の全額または大部分を負担する任意加入型の団体保険が注目を浴びており,今後の成長が期待されている。
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© 2014 日本保険学会
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