保険学雑誌
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〔法学系〕
人身傷害保険における疾病の扱い
-サード・パーティ型制度との比較から-
佐野 誠
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2015 年 2015 巻 630 号 p. 630_229-630_248

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抄録

本稿は,自動車事故に疾病が関与した場合の被害者救済について人身傷害保険とサード・パーティ型制度との比較を行うことにより,人身傷害保険の商品性の観点から同保険における疾病の扱いを再検討するものである。
自動車事故に疾病が関与するケースとしては,被害者の疾病が事故の一因となった場合と,事故による被害者の傷害が同人が有していた既存の疾病により重篤となった場合が考えられるが,いずれの場合でも,人身傷害保険の給付がサード・パーティ型制度からの給付を下回る可能性がある。これは,人身傷害保険が従来型の傷害保険として構成されていることに由来する。
ファースト・パーティ型ノーフォルト保険によるサード・パーティ型制度の代替という人身傷害保険のコンセプトからすると,約款を見直して疾病リスクを取り込むことにより被害者救済のレベルを向上させることが考えられる。

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© 2015 日本保険学会
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