保険学雑誌
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傷害保険における事故の外来性の意義
-外部からの作用による気道閉塞について-
横田 尚昌
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2015 年 2015 巻 631 号 p. 631_133-631_153

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抄録
最判平成25年4月16日の吐物誤嚥窒息死の事案について,その判旨の結論に沿った事故の外来性の解釈をしようとするときには,今一度,被保険者の窒息死と相当因果関係で結ばれる事故(直接原因)とは何であるのかを問い直さなくてはならない。結論的に,その直接原因は吐物の気管内流入充満作用による気道閉塞事故であり,これは外来の事故であると考える。したがって,吐物誤嚥以前の出来事ないし作用の連鎖はすべて間接原因と位置づけられ疾病免責条項適用の問題として論じることになる。その際,被保険者に限らず健常人であっても飲酒時に精神薬を同時服用すれば副作用が増強し,もって気道反射の著しい低下という身体の不調がもたらされる,と言える場合には,疾病免責条項の適用は難しいと思われる。なぜなら,その身体の不調は被保険者に固有の疾病の影響によるものではなく飲酒時精神薬同時服用という外部からの作用によってもたらされたものだからである。
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© 2015 日本保険学会
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