抄録
本稿では,我が国生命保険業のグローバル化1)について,世界の生命保険市場を概観した上で,日本の生命保険会社の海外展開の現状を整理する。
また,生命保険業のグローバル化への課題として,国内規制に焦点を絞り,海外の保険会社を買収する際に生じる子会社業務範囲規制を取り上げる。同規制については,国内を視野に制度導入時には合理的な理由を有していたものと考えられるが,我が国保険業のグローバル化が急激に進展している今日,とりわけ海外での適用について,国内外の監督体制の整備やERM等リスク管理手法の進展等の状況を踏まえ,抜本的な検討を要する時期に来ていると思われる。