保険学雑誌
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保険業法1条に関する立法論的考察
出口 正義
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2016 年 2016 巻 635 号 p. 635_121-635_139

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抄録

本稿は,規定の意味内容が不明確な一般条項である保険業法.条の規定を批判的に検討し,立法論を展開することを目的としている。保険業の「公共性」,「業務の健全かつ適切な運営」および「保険募集の公正」の文言はいずれも不明確な概念であり,このことが「保険契約者等の保護」を目的とした監督行政庁の合目的監督を可能にし,その結果,監督が保険会社にとどまらず,とりわけ保険募集(保険契約の締結の代理または媒介)という保険会社と保険契約者との間の私的な法律関係にまで際限なく及んでいる。しかも,その法的性質および授権根拠が不明確にもかかわらず,保険会社に対し事実上法的拘束力に匹敵する作用を有し得る「保険会社向けの総合的な監督指針」なるものにより,実務を一定方向に指導ないし誘導する,いわば監督行政庁による「指導・誘導による経済管理(統制)」が行われているとの懸念をぬぐえない。保険業法.条の規定の立法論とともに,上記監督指針による保険監督行政の在り方を問うものである。

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© 2016 日本保険学会
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