2017 年 2017 巻 639 号 p. 639_1-639_35
本研究では,先行研究の成果及びWang変換を利用した数値例を利用して企業がリスクマネジメントを実行することにより,企業価値が高まるかどうかについて検証を行った。その結果,リスクマネジメントを実行することにより,完備市場性下では,実確率下での期待キャッシュフローが増大する場合,資本コストが低減する場合,キャッシュフローのタイミングが変化する場合に企業価値が向上することを示した。また,非完備市場性下で取引されているデリバティブなどを利用する場合や,株主が分散投資できない場合にも,リスクマネジメントを実行することによりリスク中立確率下での期待キャッシュフローが高まることを通じて企業価値が高まることを示した。