保険学雑誌
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分離均衡モデルに基づく公的年金制度と私的年金保険のあり方に関する考察
諏澤 吉彦
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2019 年 2019 巻 644 号 p. 644_107-644_127

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抄録

本稿は,個人が老齢期に必要な保障を得るために,公的年金制度がいかに設計され,保険事業がどのような私的年金保険を提供すべきかについて,分離均衡モデルに基づいて分析を試みたものである。公的年金制度が均一的なプール保険料に基づき,私的年金保険が加入者の年齢による分離保険料に基づき,それぞれ提供されるとすれば,前者からの加入者の離脱を防ぐためには,加入対象となる年齢を過度に低くせず,かつ保障限度を引き上げ過ぎないことが必要であることがわかった。後者に関しては,年齢区分による保険料較差に制限が設けられ,定率の内部補助が行われることにより,加入が促進されることが示唆された。公的年金制度設計に際して,また,私的年金保険の商品設計に際しては,以上のことを考慮すべきであることが示された。

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© 2019 日本保険学会
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