保険学雑誌
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志田鉀太郎『保険学講義案:全』
—その特色および意義の考察—
大蔵 直樹
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2019 年 2019 巻 644 号 p. 644_129-644_152

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抄録

本稿の研究の目的は,先駆的保険研究者の一人である志田鉀太郎が1927年に著わした『保険学講義案:全』を研究対象とし,その特色を明らかにすることを通じて,その意義および現代にもつながる示唆を探ることにある。

当時の時代環境を背景とする経済学と保険学の進展,『保険学講義案:全』はその研究成果を採り入れ理論構築していたことを帰納的アプローチにより明らかにする。「経済学一分科説」の提唱と,不可分のものとして「保険学体系化」を明示したところに特色があり,それにより保険学が求められていた役割発揮に関し経済学の考え方でとらえる研究を可能にした,との問題を提起し考察を行う。

さらに当時の有力保険学説および経済学上の「効用」ならびに保険の「効用」を需要・供給サイドの視線により考察を行い,現代にもつながる示唆も導き出す。

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© 2019 日本保険学会
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