保険学雑誌
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改正前商法における「第三者のためにする保険」に関する一試論
—イタリア学説を契機として—
今井 薫
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2019 年 2019 巻 646 号 p. 646_1-646_20

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抄録

わが国保険法がいう「第三者のためにする保険」は,イタリア民法典では二種類ある。すなわち,per conto型契約と a favore型契約であるが,イタリア法においては,前者は損害保険のみならず生命保険(あるいは人保険一般)に広く適用されるのに対し,後者は生命保険にのみ適用される。ところが,旧ドイツ保険契約法(für fremdeRechnung型契約)がそうであったためか,わが国では一般に前者が損害保険,後者(ドイツでは Bezugsberechtigung)が生命保険などの人保険と解されてきた。しかし,2008年のドイツ保険契約法では, 「für fremdeRechnung型契約」も,人保険に適用されるよう条文の位置が変更された。そこで,わが国の改正前商法でも,per conto型契約は生命保険に適用可能であったのではないか,さらには,「他人の生命の保険」とは,perconto型人保険の利益処分に関する規律にすぎなかったのではないか,という視点から再検討を行った。

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