保険学雑誌
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ドイツにおける保険会社ガバナンスについて
栁田 宗彦
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2019 年 2019 巻 646 号 p. 646_99-646_127

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抄録

ドイツのガバナンス体制は,業務執行を行う取締役会を監視・監督する監督役会が特徴となっている。この監督役会は,一般的に半数は株主から選出されるが,残り半分は従業員から選出される。さらに,監督役会が取締役会のメンバーの選任および退任を決められるという強力な権限を持っている。監督役会と取締役会という二層式となっており,この形式は EUの会社法においても選択できるガバナンス形態となっており,ドイツの保険会社として選択している会社がある。さらに,相互会社の場合は,3分の1が従業員から選出だが,残り3分の2は契約者が選出することとなっており,契約者を重視したガバナンスとして注目すべきものと考えられる。わが国の会社法において従業員は債権者に過ぎないのに対して,実態は従業員重視であり,ドイツのガバナンスはわが国のガバナンスにも参考となろう。

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© 2019 日本保険学会
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