保険学雑誌
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文脈が保険需要行動に与える影響
—実験経済学の手法を用いた考察—
藤井 陽一朗白川 竜太
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2020 年 2020 巻 650 号 p. 650_23-650_40

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抄録

本研究では,確率分布に与えられる文脈によって,個人のリスク態度が安定的に観察できるかを検証することを目的とする。個人のリスク態度は,効用関数の形状により決定されると考えられてきた。効用関数は,個人のリスク間の定性的な選好関係を表現したものであるので,リスク回避度も個人で固有と考えられる。しかし,大規模データを用いた実証研究により,さまざまなリスクの間でリスク回避度が一貫しない可能性が指摘されている。そこで本研究では,実証研究の一分野として急速に発展している実験経済学の手法を用いて,確率分布が同じだが,文脈が異なる場合のリスク回避度を推定する。実験から得られた結果は,次の3点にまとめられる。第1に,個人は文脈に応じて,リスク態度を変化させる可能性がある。第2に,個人は損失局面において,リスク愛好的になる傾向がある。第3に,個人の認知反射テストの結果とリスク態度との間には,有意な相関はみられない。

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© 2020 日本保険学会
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