2020 年 2020 巻 651 号 p. 651_193-651_215
世界で急速にデジタル化が進む中,インシュアテック(Insurtech)を代表するものとしてP2P保険(peer to peer insurance)が注目を集めている。保険新興国である中国は,国民に広く保険商品が普及する前にデジタル化が進展し,プラットフォーマーによる医療保障を中心とした「ネット互助プラン」が急速に普及し始めている。ネット互助プランは欧米で主流の仲間同士または小規模のリスクシェアとしての範疇を超え,所得が相対的に低い層を包摂しながら,社会保障体系における基層部分のリスクをカバーする存在としても機能し始めている。また,ネット互助プランの加入は,金融リテラシー向上のきっかけとなり,更に保障の手厚い民間保険への販売へと繋がっている。中国では,社会保障,既存の民間保険との共存を目指した成長が模索されている。