保険学雑誌
Online ISSN : 2185-5064
Print ISSN : 0387-2939
ISSN-L : 0387-2939
【コロナ禍における保険業の役割と今後の展開】特集
『21世紀金融行動原則』予防的アプローチの再定義
―パンデミックXに向け,感染拡大予防に資する保険セクターの役割―
大蔵 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 2022 巻 659 号 p. 659_1-659_27

詳細
抄録

『21世紀金融行動原則』に予防的アプローチの定義付けはされていない。環境保護目的に開発された予防的アプローチの概念は,21世紀に入り保険セクターにとっても防災等による持続可能社会形成のため実践するものとして適用範囲が拡大されてきた。本論文の第一の研究の目的は,次なるパンデミックXにおいて持続可能社会形成と地域社会レジリエンス力向上に資する,社会的存在たる保険セクターに蓄積されている知見および強みの深化を行うことである。第二の研究の目的は,その合理的な活用による予防可能な分野について探索することである。本論文では,COVID-19事例分析を通じて,高齢者に対するワクチン接種加速の分野に探索の焦点を当て考証する。第三の研究の目的は,次なるパンデミックXに備えるための具体的提言への糸口とすることである。結論として,保険セクターとしての予防的アプローチの概念の再定義に社会的意義ならびに効果が確認できること,および,本論文が議論の発端となり,次なるパンデミックXの感染拡大予防に資するさらなる研究発展の期待が持てることを述べ,取りまとめとした。

著者関連情報
© 2022 日本保険学会
次の記事
feedback
Top