保険学雑誌
Online ISSN : 2185-5064
Print ISSN : 0387-2939
ISSN-L : 0387-2939
【一般論文】
負の所得税を応用した最低保障年金導入案の提言
八重島 崇宏
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 2023 巻 662 号 p. 662_23-662_42

詳細
抄録

本稿は,課税点を300万円とした負の所得税を応用することで,65歳以上のいる中・高所得世帯の総所得に応じて年金支給額の段階的減額を行い,65歳以上のいる低所得世帯へ最低保障年金の導入を図った。その結果,現行の公的年金制度で行われている世代間扶養のみでなく,高齢者間による同世代間扶養を行うことが可能であり,給付水準を最低生活費とすることで,高齢者の生存権は最低保障年金で保障することが可能となる。さらには,最低保障年金の導入に際した給付に必要となる財源について,課税レベルの異なる4パターンの試算を行った結果,2022年時点では,65歳以上の者がいる高所得世帯の年金支給額を最大で国庫負担分までの減額と65歳以上の者がいない世帯の月額1,249円の追加負担により,月額13万円の最低保障年金の給付が可能であることを提示した。

著者関連情報
© 2023 日本保険学会
前の記事 次の記事
feedback
Top