日本関節病学会誌
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症例報告
腱板断裂性肩関節症に対するステムレス型小径人工骨頭置換術・腱板修復術の治療成績
若宮 みあり橋口 宏岩下 哲渡部 寛片岡 達紀明石 裕貴高井 信朗
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2021 年 40 巻 1 号 p. 56-60

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抄録

目的 : 腱板断裂性肩関節症 (CTA) に対するステムレス型上腕骨インプラントを用いた小径人工骨頭置換術 (sHHR)・腱板修復術の術後成績について報告する。

症例1 : 67歳・男性。鏡視下腱板断裂手術後4年で左肩関節痛が再発した。初診時可動域は外転90度, 屈曲135度, 外旋90度, 内旋第5腰椎, JOA scoreは64点であった。単純X線像・MR画像にて肩甲下筋腱断裂を含むCTAと診断し, 手術適応と判断した。手術はステムレス型sHHR (Comprehensive® Nano, Zimmer Biomet) を行った直後に虚血性心疾患の発症が疑われたため, 広背筋移行を中止し, Cofield法と断裂腱の可及的修復のみを行った。術後14カ月現在, 疼痛なく, 可動域は外転100度, 屈曲120度, 外旋20度, 内旋第12胸椎, JOA scoreは91点, 単純X線像にて人工骨頭の設置は良好である。

症例2 : 70歳・男性。64歳から右肩関節痛が出現し当院紹介となった。可動域は外転60度, 屈曲150度, 外旋0度, 内旋第12胸椎, JOA scoreは59点, 単純X線像・MR画像にてCTAと診断した。手術はステムレス型sHHRを行い, Cofield法と断裂腱修復を行った。術後13カ月現在, 疼痛なく, 可動域は外転180度, 屈曲170度, 外旋20度, 内旋第1腰椎, JOA scoreは92点, 単純X線像にて人工骨頭の設置は良好である。

結語 : ステムレス型人工骨頭は上腕骨近位の骨温存が可能ため, 将来的に再置換術を要する可能性があるsHHR+腱板修復術に有用なインプラントである。

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