日本関節病学会誌
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Editorial
原著
  • 奥茂 敬恭, 砂川 正隆, 佐藤 敦, 瀧澤 美紗子, 永坂 玲央, 椋木 毬花, 嚴樫 香名子, 太田 真隆, 神﨑 浩二, 大池 潤, ...
    2026 年45 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル 認証あり

    目的:本研究では,前十字靱帯再建術(anterior cruciate ligament reconstruction: ACLR)後に発症する膝蓋大腿関節症(patellofemoral osteoarthritis: PFOA)臨床的および画像学的危険因子を明らかにすることを目的とした。

    方法:2015年2月から2023年8月までにACLRを施行し,術後1年以上の経過観察および再鏡視が可能であった86例を対象とした。PFOAの有無による群分けの上,手術時年齢,膝蓋骨高位(Insall-Salvati比),膝伸展筋力,Lysholmスコアなどの臨床・画像学的指標について後方視的に二群間比較を行い,さらに単変量および多変量ロジスティック回帰分析によって独立した危険因子を検討した。

    結果:二群間比較の結果,PFOA発症例では手術時年齢が高く,膝伸展筋力,Lysholmスコアが低く,術後の膝蓋骨低位化がより顕著であった。単変量解析でも年齢,膝蓋骨低位化,術後膝伸展筋力,術後LysholmスコアがPFOA発症と有意に関連したが,多変量解析の結果,手術時年齢および膝蓋骨低位化が独立したリスク因子として抽出された。

    考察:本研究により,ACLR後のPFOA発症には年齢や膝蓋骨低位化など複数の因子が関与していることが明らかとなった。今後はこれらのリスクを的確に評価し,膝蓋骨低位化の予防・是正を目指した術後管理や,筋機能回復を含めた柔軟な治療戦略を組み合わせることで,PFOAの発症抑制および膝関節機能の長期温存が期待される。

症例報告(学会寄稿)
  • 川島 史義, 笠原 峻, 土田 将史, 清家 直人, 相楽 光利, 山野 賢一
    2026 年45 巻1 号 p. 11-20
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル 認証あり

    目的:Portable NavigationのひとつであるNAVISWISS(NAVISWISS社.スイス)は,術中の予測骨切り量の評価が可能である。本研究の目的は,NAVISWISSの正確性評価と,その機能の特性と術前徒手牽引X線像を利用したgap techniqueでの人工膝関節全置換術(以下TKA)を報告することである。

    方法:対象は2024年4~12月にNAVISWISSを用いてTKA(京セラ社Initia PS型22膝,CR型3膝)を施行した25膝とし,内反21膝,外反4膝だった。検討項目はインプラント設置精度,術前後可動域とKOOSとした。また,内反膝に対してPS型で施行した症例においては,脛骨をmechanical alignment(以下MA)骨切り時と脛骨3°内反骨切り時のテンサーでの内反角を計測した。さらに内反膝に対して,術前単純徒手牽引X線像を元に決定した大腿骨遠位を内反骨切りした症例のテンサーでの内反角,外反膝に対して,Navigationでの予測骨切り量を加味して大腿骨遠位を外反骨切りした症例のgap値について報告した。

    結果:インプラント設置誤差は大腿骨冠状面が0.3±0.9°,大腿骨矢状面が1.1±1.2°,脛骨冠状面が0.6±0.8°,脛骨矢状面が0.7±0.5°といずれも有意差を認めず精度は良好だった。可動域,KOOSも術後有意に改善を認めた。内反膝に対するPS型での脛骨3°内反骨切り時の内反角は伸展で2.1±1.1°,屈曲90°で2.9±1.2°,脛骨MA骨切り時は,伸展位3.3±1.2°,屈曲位4.6±1.8°と,3°内反骨切りの方がバランスは良好だった。さらに術前徒手牽引X線像を元に骨切り角を決定し,大腿骨遠位2°内反,脛骨3°内反で骨切りした内反膝の1例のテンサーでの内反角は伸展1.8°,屈曲90°で2.2°で良好であった。また,外反膝の1例では,大腿骨遠位予測骨切り量を元に,骨切り角度を解剖軸に垂直よりも2°外反に調整することで,外側骨切り量を増やし,joint lineを上昇させずに良好なgapの獲得が可能だった。

    考察:NAVISWISSは精度の高い骨切りだけでなく,大腿骨遠位と脛骨近位の予測骨切り量が評価可能である。その特性を利用してMA法での正確なアライメント骨切りが可能であると同時に,予測骨切り量に応じて冠状面での大腿骨脛骨の内外反の角度調整をすることで伸展位での良好な内外側バランスやgap調整が可能な有用なツールと考えられた。

原著
  • 井上 隆広, 濵井 敏, 小西 俊己, 中尾 侑貴, 川原 慎也, 國分 康彦, 中島 康晴
    2026 年45 巻1 号 p. 21-27
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル 認証あり

    目的:THA後のカップ前方の突出(Overhang)がPROMsに及ぼす影響を検討し,至適上限を同定すること。

    方法:2014~2021年に当科で後外側アプローチによりTHA施行し,術後CT検査からOverhangを計測,PROMsを収集できた207股(年齢66±10歳,術後6±1年)を対象とした。Oxford Hip Score(OHS)およびVAS Satisfactionへの影響を多変量解析で評価し,ROC曲線を用いてカットオフを算出した。

    結果:Overhangは2.8±1.8 mmであった。OHSは45±4,VAS Satisfactionは90±16。Overhang増加はOHSおよびVAS satisfactionの低下と有意な相関を認め,多変量解析で両PROMsへの有意な負の影響因子であった。Overhangの増加はOHSの屈曲動作のサブスコアの低下に影響し,ROC曲線解析によりカットオフは約4 mmであった。

    考察:Overhangは満足度の低下につながり,4 mm以上の突出はIliopsoas Impingementへの関与が示唆された。カップ設置の適切な術前計画と術中再現性の確保が重要と考えられた。

    結論:THA後,4 mm以上のカップ前方Overhangは,乗降車や階段昇降,満足度スコアを低下させる。

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