2022 年 41 巻 4 号 p. 293-300
目的:関節リウマチ(RA)診療の進歩により寛解が現実的な治療目標になった。しかし,その一方で,ロコモティブシンドローム(ロコモ)のリスクが指摘され,残存する疼痛による機能障害の潜在的進行が懸念される。本研究では外来通院加療中の在宅RA患者のロコモ度と疼痛と関連症状,生活の質(QOL)との関係について検討した。
方法:対象は女性RA患者68名(平均年齢65.7±14.0歳)で,ロコモ度判定「ロコモ25」によりロコモなし,ロコモⅠ,Ⅱ,Ⅲの4群に分類した。評価項目は,疾患活動性(SDAI),疼痛強度(VAS),機能障害(PDAS,HAQ),心理情動(PCS,HADS),疼痛認知(TSK,PSEQ),QOL(EQ-5D)とした。
結果:対象の77.9%がロコモであった。さらに,ロコモなし群に比べロコモⅠ群,Ⅱ群,Ⅲ群でSDAI,VAS,PDAS,HAQ,PCS,HADSが高値,TSK,PSEQ,EQ-5Dは低値であった。以上より,ロコモ25の合計点数と機能障害や心理情動面や疼痛認知の問題,QOLとの関係が示された。
考察:地域在住RA患者の中には重篤なロコモを合併する患者が存在し,合併により機能障害や心理情動的問題,疼痛認知が変化しQOLが低下する傾向を示した。よって,RA診療においては,残存する疼痛の管理とロコモ改善による身体機能・ADLとQOLの維持改善の視点が必要と考える。