2024 年 43 巻 1 号 p. 3-7
目的:次亜塩素酸水で前処理した生体材料表面におけるバイオフィルム内の生菌数を評価した。
対象と方法:チタン合金製の基板を生理食塩水と2種類のpHが異なる次亜塩素酸水(HOCl)(pH=5.5 or pH=8.0,残留塩素濃度200ppm)に3分間浸漬した。インプラント関連感染症の起炎菌のひとつである表皮ブドウ球菌Staphylococcus epidermidisの菌液2.3×108CFU/mL(対数増殖期:OD600=0.2)を作製し,基板表面に滴下後60分間静置した。堆積菌をリンスした後,新鮮な培地内で6時間培養して初期バイオフィルムを形成させた。基板表面のバイオフィルムを遊離させ,希釈平板法にてcolony-forming units(CFU)を各16回ずつ計測した。
結果:初期バイオフィルム内の生菌数の平均値(×106CFU/mL)は,対照群(生理食塩水)が11.3±3.4であったのに対し,HOCl pH5.5群では9.5±3.7,HOCl pH8.0群では8.0±3.4であり,HOCl pH8.0群では対照群よりも有意に生菌数が少なかった(P<0.05)。
考察:pH8.0の次亜塩素酸水で前処理した材料表面では初期バイオフィルム形成が抑制される可能性が示唆された。