スキー研究
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研究資料
恵庭岳滑降競技場の建設と自然保護をめぐる議論
―地方紙「北海道新聞」の検討を中心に―
石塚 創也
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2015 年 12 巻 1 号 p. 43-50

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抄録

恵庭岳のスキー競技場は,1972 年に開催された第 11 回札幌オリンピック冬季大会のために建設された.この競技場は,大会の後に解体され,植林によって再生がなされた.これは,オリンピック・ムーブメントが環境問題に配慮した初期の事例の一つである.
本稿では,そこで本稿では,恵庭岳滑降競技場の建設と自然保護をめぐる議論に関する新聞報道の内容およびその傾向を提示した上で,既往文献を参照し,この議論の全体像を明らかにする.
史料は、地方紙「北海道新聞」,全国紙「朝日新聞」および「読売新聞」,およびこの議論に関連する既往文献である.
本研究の結果,この議論には,競技場および交通輸送手段の建設に対する反対意見および声明が出された一方で,競技場の存置を要望する動きがみられた.さらに,世論では,大会開催による経済的な利益の優先か,それとも自然の保護か,という摩擦が,行政,大会関係者および市民を問わず発生していたと考える.

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© 2015 日本スキー学会
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