抄録
小佐渡地域の東部は、かつて日本の野生トキが最後まで棲息していた地域で、トキはこの山間部にある棚田を餌場としていた。放棄されてから数十年経過していたが、かつての棚田を復元しこの水環境における水生生物の動態を2003年から調べはじめた。野生で棲息していたトキの胃の内容物にはイモリ、カエルが多く含まれていたとの記録があり両生類を中心にモニタリングを始めた。佐渡島内に棲息する移入種(アズマヒキガエル、ウシガエル)以外の全6種(イモリ、クロサンショウウオ、ヤマアカガエル、ツチガエル、ニホンアマガエル、モリアオガエル)が復元棚田に生息することが確認され、2004年には繁殖の拡大が確認された。