抄録
中部山岳地帯に位置する中房・湯俣温泉(中性~弱アルカリ硫黄泉、70~75℃)の源泉水中に微生物ストリーマーが発達する。熱水環境における微生物学的硫黄サイクルを解明する目的で、硫黄代謝に関わる機能遺伝子である、アデノシシンファスフォリン酸還元酵素遺伝子(apsA)および硫黄酸化酵素遺伝子(soxB)の解析を行った。両温泉からapsAおよびsoxBの両クローンが検出され、熱水環境中で微生物学的硫黄サイクルの存在が示唆された。apsAクローンの塩基配列を決定した結果、Thermodesulfobacterium様好熱性硫酸還元細菌であることが推定され、16S rRNAおよび亜硫酸還元酵素遺伝子(dsr)にもとづく系統学的解析の結果と一致した。soxBの解析結果を含めて、熱水環境における微生物学的硫黄サイクルを考察する。