抄録
オゾンホールの拡大にともない近年は地上に降りそそぐ中波長の紫外線(UV-B)の量が上昇している。一方、地球規模での両生類の個体減少の原因のひとつとしてUV-Bとの関連が議論されている。われわれは日本国内の無尾両生類に対する紫外線の影響を調べるために、まず、屋外での状況を調べ、さらに人為的なUV-B領域の照射実験を行い紫外線に対する半数致死量を導き出した。初期胚に対する紫外線感受性を種間で比較し、さらに、種それぞれの紫外線防御機構を知るために卵周辺のゼリー層の効果などを調べ、同じ無尾両生類の中でも多様な防御機構の存在を知ることができた。これらに関連し、環境指標動物としての有用性に関しても論議する。