抄録
リン添加培養実験による植物プランクトンに対するリン制限を評価することと,ピコプランクトン細胞内におけるリン貯蔵物質を指標として琵琶湖のピコプランクトンの季節変動の要因を明らかにしようとした。
ピコプランクトンの個体数,植物プランクトンのクロロフィルa量がリンを添加することにより顕著な増加を示し,琵琶湖北湖有光層では植物プランクトンにとってリンが不足した状態であった。また,ピコプランクトンは大型の植物プランクトンより各種リンを蓄積する能力に優れていることが示唆され,これらの結果から,ピコプランクトンがリンをめぐる生物地球化学的循環に大きな役割を果たしていることが考えられた。