2010 年 56 巻 1 号 p. 1-16
本研究は,大正7年(1918)の大学令下における私立大学設置に際して大学図書館に求められた要件について考察を行い,大正期の私立大学図書館の実態を明らかにするとともに,大学令が私立大学図書館に与えた影響についても考察を行うものである。私立大学図書館に関する認可要件は,「大学設置認可規定(秘)」によって規定されているが,本研究によって私立大学の多くは設置認可時にこの要件を充たしていなかったことが明らかになった。一方,大学令は私立大学図書館の礎を築くとともに,大学図書館の必要性を浸透させる役割を果たしたといえる。