日本図書館情報学会誌
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論文
館内閲覧量の測定 : 公共図書館内で資料が読まれた量を把握する試み
糸賀 雅児内藤 沙織
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 56 巻 4 号 p. 177-189

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抄録

図書館経営に活用できるデータとして館内閲覧量を測定する方法を提案する。測定単位としては,館内閲覧と館外閲覧(貸出)で重複の見られる閲覧点数や人数ではなく,時間を用いることで重複を回避した点に特色がある。市立図書館と県立図書館の2館において15分間隔で館内を巡回する方法で利用者を観察したところ,並行して実施した質問紙法と館内閲覧時間の総量がほぼ一致した。こうした調査から,館内閲覧量の測定が可能であり,また有効であること,貸出しサービスを中心とした立寄り型図書館と調査研究を重視した滞在型図書館といった公共図書館としての運営方針を反映した利用実態がより正確に把握できること,そして巡回間隔は測定誤差と調査労力から見て平日で3時間おき,週末(休日)で2時間おきの巡回で十分な推定値が得られること,などを明らかにした。これにより,時間を単位として館内閲覧量を把握することの意義と可能性が確認された。

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