日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: S203
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シンポジウムⅡ
厚生労働省の政策と障害者医療・福祉の近未来
*仲泊 聡
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抄録


 障害者医療・福祉の現状において、厚生労働省の視線は、第一に当事者に向いている。ただし、行政と当事者の途中に介在する各種事業者に関しては、冷静な目で見ている。医療、福祉そして教育は、 当事者ではなく介在者である。つまり、これらをコントロールすることでいかに当事者の福祉を向上させるかが省の役割である。そして、第二にその視線は国外に向く。国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」の批准を直前にして、その根底に流れている思想を十分に意識している。平成21年3月に「国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会」の報告書が提出された。
 そこでは、現在、身体障害者の特性が大きく変化してきており、これに対応すべく『リハビリテーション技術の研究開発や人材育成等の施策の具現化』を果たし、『先導的かつ総合的取組を行い、そのノウハウを民間施設等へ還元すること』が国立更生援護機関の向かうべき方向であると結論づけている。そして、『障害関係機関等との情報ネットワークを構築』し、国内外の情報を収集し、「障害者リハビリテーション総合情報センター」として『障害当事者や関係者が必要とする情報が迅速かつ効果的に提供できるようにすべき』 であると述べている。障害者自立支援法の下に身体障害、精神障害、知的障害が一元化されて扱われるようになり、ややもすると視覚障害に対する関心が希薄になりかねない今、声を大にして視覚障害支援の必要性を提言しなくてはならない。そして、その具体策としての「視覚障害者リハビリテーション総合情報センター」プロジェクトを立ち上げ、全国的なネットワークの実現を果たさなければならない。ここにおける情報と人材の有効活用により近未来の視覚障害者に対するよりよい医療と福祉が実現するであろう。

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