日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: H103
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口演Ⅰ
糖尿病網膜症に対する遮光眼鏡の有用性についての検討
*川口 佳菜阿曽沼 早苗瓶井 資弘不二門 尚
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抄録


【目的】糖尿病網膜症例では、羞明やコントラスト感度の低下を訴える症例が多く、遮光眼鏡が有効といわれている。今回我々は、糖尿病網膜症例におけるグレア条件下での遮光眼鏡の有効性について文字コントラスト視力による検討を行ったので報告する。

【対象と方法】対象は、大阪大学眼科を受診した糖尿病性黄斑浮腫症例7名10眼(眼内レンズ(無着色)挿入眼7眼、汎網膜光凝固施行例8眼)とした。年齢は51~79(平均66.5±7.4)歳、視力は0.15~0.5(中央値0.4)であった。対象者にCCPレンズ(東海光学)7色(LY、YL、OY、BR、UG、YG、RO)とNDフィルター(Fuji Film:以下ND)の6色(No.0.1、0.2、0.3、0.4、0.6、0.7)を装用させ、CSV-1000HGTにて24万cd/m2のグレア下における文字コントラスト視力を測定した。また、CCPレンズと同程度の輝度低下率をもつNDフィルターとの比較、年齢を合わせた正常群(n=7)との比較検討を行った。

【結果】CCP RO装用下でコントラスト視力の有意な低下が(p<0.01)、ND 0.2では有意な改善(p<0.05)が、それ以外のフィルターでは有意な変化はみられなかった。また、CCPレンズとNDフィルターの輝度低下率を揃えて比較したところ、装用前後での文字コントラスト視力の変化量はCCP BRとCCP ROでND 0.4とND 0.7に比べて有意な低下がみられた(p<0.05)。正常群との比較では、ND 0.1、0.2、0.4、0.6装用下で有意にコントラスト視力が改善した(p<0.05)が、CCPでは改善したものはなかった。

【結論】今回の条件下では、NDフィルターに文字コントラスト視力の改善効果がみられた。今回CCPの有用性が見出されずむしろ低下傾向にあったことに関しては、測定条件を変えての再検討が必要であると考えられた。

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