主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
眼科外来患者の来院目的について眼科医はどれほど理解しているだろうか。時間を割いて通院するからには患者も何らかの問題を持って来院するわけで、眼科医も、患者もお互いに共通認識を持って行動すべきである。その際に重要なことは眼が何のためにあるかということを十分考えることであり、決して、視力検査や、視野検査のためにあるのではなく、日常生活のためにあるということをすべての眼科医は理解すべきである。例えば、黄斑変性症で中心暗点があれば、視力が低下する。この二点についてただ単に経過観察をするのではなく、多くの患者さんが視機能低下に伴い、読み書きが困難となり、すれ違う人の顔が判らず悩んでいることに気付いていただきたい。ロービジョンケアはこれらの点について、医学的治療と平行して広義の加療をすることである。
これらの問題解決については眼科医だけでは到底解決することはできず、他の分野の専門家の協力を必要とすることになる。読み書きの問題については視能訓練士、歩行や日常生活などに関しては生活訓練専門職、先天盲の場合には発達心理学の専門家などの専門的知識が必要となる。ロービジョンケアを成功させるためにはこれらの眼科医以外との連携が成否を分ける重要な要素となることを理解すべきで、常日頃からこれらの他分野の人たちとの連携を念頭におく必要がある。
チームプレーで問題解決するとき、お互いに専門性を尊重しあうことは必須である。しかし大切なことは“患者主導のケア’という共通認識を持つことである。決して情報の押し売りになってはいけない。オプトメトリストのいない日本においてロービジョンケアは眼科医がチームプレーの中心となり、他専門分野の人々との連携により患者に満足を与えることが重要である。