日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第7回日本ロービジョン学会学術総会・第15回視覚障害リハビリテーション研究発表大会合同会議 プログラム・抄録集
セッションID: SI-5
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シンポジウム I
あはきを生かした雇用拡大を!
*大橋 由昌
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抄録

 あはき(あん摩・はり・きゅう)盲業界は、無免許者の横行と晴眼者の激増により、厳しい経営を強いられています。駅前を歩いて見れば、「エステ」や「あし裏マッサージ」など、いわゆる「癒し系」店舗のカンバンをたくさん目にすることができるでしょう。それらの業者は、ほとんど無免許者なのです。晴眼者の増加については、あはき国家試験における受験者数の推移を見れば一目瞭然です。第9回あはき師国家試験(01/02)のはり師には、視覚障害者が579人、晴眼者が2081人でしたが、第14回(06/02)では、視覚障害者が580人、晴眼者が4127人となっています。
 こうした状況にあってもなお、いな、厳しい状況にあるからこそ、あはき資格を生かした雇用の拡大を、私は強く求めます。開業をしても、簡単に生活の糧を獲られません。だからといって、あはき以外の職種、いわゆる「新職業」への進路も、期待されているほどの成果を上げていないからです。自立支援法施行により、かえって新職業開拓が、なおいっそう難しくなっているようにさえ感じます。授産施設やリハ施設の運営が、行き詰まるのではないか、とまでささやかれているくらいです。視覚障害者を雇用する場合、雇用主もあはきをベースにした仕事のほうが、事務系職種より受け入れやすいのではないでしょうか。
 一方、視覚障害あはき師の雇用状況も、決して明るいものではありません。たとえば、介護保険法改正にともない、機能訓練指導員の道が閉ざされようとしています。厚生労働省の対応が、もっと厳しく指弾されてしかるべきではないでしょうか。また、ヘルスキーパーの雇用状況を見ても、従来の業務内容にプラスアルファを求める企業が増加しています。二極分化の傾向にある、といえましょう。あはき師養成のあり方も、あはきを取り入れた職業リハの試みもまた、検討する時期にきているように感じます。

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© 2006 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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