抄録
(目的)
本研究は、日本全国の盲学校(66校)のホームページを中心に見やすさについて調査をし、画面表示の現状と問題点を把握する。
(方法)
全国の盲学校(71校中66校)のホームページのトップページを調査対象とした。『高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス』(JIS X8341) に準拠したチェックリストを作成し、評価した。評価項目は「コントラスト」「フォントサイズ」の三点である。
(結果)
「背景と学校名のコントラスト」では、半数以上の学校がJIS規格を満たしていないことがわかった。また、「背景とハイパーリンクとコントラスト」、「学校名とハイパーリンクのコントラスト」は、いずれの項目においても規格を下回る結果となり、見やすい環境が十分に整えられていないことが分かった。
フォントに関しては13ポイントの基準を満たしていないものはホームページでは26.9%であった。そのうち、HTMLの基準値とされる12ポイントに満たないホームページは9%存在した。
(考察)
Webに関するJIS規格は2004年に示されたが、あまり知られていない。また、法的な拘束力がないため、一般にはなかなか浸透していないのが現状である。今後は、ウェブページの作成者・管理者がJIS規格等の知識を得て、専門性を高めていく必要があるといえる。学校関係者に対しても研修、実践活動を行い、学校ホームページに関する意識や専門性を高めていかなければならないと考える。
盲学校のホームページは、地域の視覚障害教育の中心として、いろいろな人が情報を得るために閲覧する。また、学校の情報を地域に知らせる役割もあり、その役割は非常に重要である。従って、誰もが見やすいホームページ作りが必要となっている。