抄録
加齢黄斑症は加齢にもとづく黄斑部異常の総称であり、早期加齢黄斑症、晩期加齢黄斑症に分類され、晩期加齢黄斑症は加齢黄斑変性として知られている。本邦の有病率は初期加齢黄斑症が13.6%、晩期加齢黄斑症は0.87%と報告されており、人口の高齢化にともない年々患者は増加している。加齢黄斑変性の症状は、「なんとなく暗くぼやけて見える」、「物がゆがんで見える」からはじまり、黄斑部の視機能が失われると「見ようとするところが見えない」状態になる。それらの症状が患者の日常生活に多大な影響をおよぼすことは想像に難くない。今回は患者が日常生活上、どのようなことに不自由を感じているのかを明らかにするために行った、眼疾患特異的QOL尺度であるthe25-item National EyeInstitute Visual Function Questionnaire日本語版を用いて調査した両眼加齢黄斑症患者のQOL評価の結果について述べる。また、加齢黄斑変性に対するロービジョンケアの方法を解説し、ケアの実際を症例を示しながら紹介する。