抄録
【目的】羞明は遮光眼鏡が認められている眼疾患に限らず,多くの眼疾患に伴う症状である.柳川リハビリテーション病院眼科における実際の遮光眼鏡処方について検討したので報告する.
【対象および方法】対象は2000年1月~2006年12月にロービジョンケアを行なった737名(5か月~97歳)であった.これらの疾患名,年齢,遮光眼鏡のフレームのタイプ,レンズの色や用途などを検討した.
【結果】遮光眼鏡は737名中257名(35%)に処方した.そのうち, 錐体ジストロフィ9/12名(75%),網膜色素変性症126/211名(61%),緑内障27/60名(45%),加齢黄斑変性症7/17名(41%),角膜疾患/15名(40%),白内障9/31名(35%),糖尿病網膜症10/36名(28%),網脈絡膜萎縮12/55名(22%),視神経萎縮7/60名(12%)、半盲5/41名(12%),その他34名であった.処方年齢は4歳~97歳,18歳未満では対象の1割,18歳~64歳では5割,65歳以上では3割弱に処方されていた.フレームのタイプは眼鏡型6割,シールド型3割,前掛け式1割であった.レンズの色はCCPシリーズよりCCP400シリーズの割合が多く,網膜色素変性症においては,屋外用ではCCP(YG,UG),CCP400(NL,FR,FL)が,屋内用・近用ではCCP400(NA,AC,SA,SC)が多かった.それ以外の疾患でも色の薄いCCP400シリーズの処方数が多数であった.
【結論】遮光眼鏡は多くの眼疾患で有用であるが,実際の処方には年齢的な要因もあり,本人や家族の抵抗が大きいので,処方に至らない例や少しでも薄い色を希望する.また,屋内・外兼用もあり,薄めの色を選択されることもある.このような現状を鑑み,遮光眼鏡の交付対象となる眼疾患や遮光眼鏡の種類の拡大が必要である.