日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第9回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: OII-01
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全国大学医学部附属病院眼科におけるロービジョンクリニックの現状
*田淵 昭雄藤原 篤之
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抄録

[目的]全国の大学医学部眼科80施設を対象とし,アンケートによるロービジョン(LV)クリニックの開設の有無,LVケアの内容とその担当者,院内でのLVケア勉強会・講習会の開催の有無,院内スタッフへのLVケア教育・研修の必要性,医師を対象としたLV研修受講希望の有無について調査した。 [方法]アンケート調査期間は2007年7月1日から8月31日までの2 か月間で,無記名で回答を求めた。 [結果] _丸1_ 回収率は78.8 % (80施設のうち63施設) であった。_丸2_ LVクリニック開設の有無は,開設が37施設(58.7 %)で,未開設が26施設(41.3 %)であった。未開設施設のうち将来開設予定が2施設(7.7 %)であった。_丸3_ LVケア担当職種は,視能訓練士(32施設,86.5 %),眼科医(29施設,78.4 %)が主体で,その他,歩行訓練士,MSW や看護師があった。 _丸4_ LVケアの内容および担当者としては、「光学的補助具の選定と訓練」が全ての施設で行われていた(37施設,100 %)。担当者は,視能訓練士が31施設(83.8 %),眼科医が27施設(73.0 %)であった。「情報提供」が34施設(91.9 %)で,視能訓練士(82.4 %),眼科医(70.6 %)が主体に担当しており、MSW(2.9 %)が携わっている施設もあった。_丸5_ 院内でのLVケア勉強会・講習会は,開設施設の18施設(48.6 %)に実績があり,未開設施設での開催は5施設(19.2 %)であった。_丸6_ 院内スタッフへのLVケア教育・研修については,開設施設の30施設(81.1 %),未開設の施設でも22施設(84.6 %)が必要と回答した。_丸7_ 医師を対象としたLVケア研修受講希望については,開設施設のうち24施設(64.9 %),未開設の施設で14施設(53.8 %)に希望があった。 [考按および結論] 2001年の同様アンケート調査ではLVクリニック開設施設が49.0%であったが、本年は増加(57.7% )していた。しかし、まだ十分とはいえない。大学病院においては担当者の主体が眼科医や視能訓練士であるが、その他の職種も担当すべきである。院内スタッフへのLVケア教育・研修や医師を対象としたLVケア研修受講希望が高いことから、今後日本ロービジョン学会がこれらの要望に対して積極的な行動をすべきであると思われる。

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© 2008 日本ロービジョン学会・日本視覚障害リハビリテーション協会
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