抄録
腫瘍親和性光感受性物質を投与し,特異的なレーザー波長で腫瘍部位を励起し癌細胞を死滅させる光線力学的療法(photodynamic therapy: PDT)は,食道・胃・肺などの表在癌の治療法として確立しその有用性が明らかとなっている.一方,胆管癌では局所の癌進行を制御することは患者の予後に大きく影響するため,的確な局所治療の確立が期待されているが,PDTは有用な選択肢の一つと考えられている.上記対象に比べ,胆管癌では臨床実用は2000年を過ぎて欧米で始まったばかりであり,本邦では少数の施設で行われているに過ぎない.その治療効果は有効で安全性も高いことから胆管癌に対する集学的治療の可能性が期待される.国内外の胆管癌に対するPDTの現状と将来の展望を述べる.