日本レーザー医学会誌
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タラポルフィンナトリウム投与後の皮膚組織中薬物動態:皮膚光線過敏症リスクの検討
小川 恵美悠 相吉 英太郎荒井 恒憲大谷 圭志臼田 実男前原 幸夫今井 健太郎工藤 勇人小野 祥太郎池田 徳彦
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論文ID: jslsm-40_0015

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抄録

我々は光線力学的治療におけるタラポルフィンナトリウム静注後の皮膚光線過敏症発症リスクを定量評価することを目指し,in silico薬物動態モデルを構築することでヒト皮膚組織中薬剤濃度変化の推定を行なった.光感受性薬剤として臨床応用されているタラポルフィンナトリウムは,投与後2週間500ルクス以下の室内で過ごす遮光が定められている.遮光期間は入院を規定するものではないが,現実には2週間の入院観察を行うことが多い.患者の負担および医療コストを削減するために,退院時期決定および在宅管理に関する科学的エビデンスの構築が必要である.本研究では,皮膚光線過敏症発症リスクの高い時間帯を明らかにし,組織内濃度上昇の前に退院,遮光が必要な期間を自宅で過ごすことで入院期間を短縮することを提案し,がん患者のQuality of Life(QOL)改善を目指す.我々は経皮的薬剤蛍光計測システムを用いて,東京医科大学病院および日本医科大学付属病院において皮膚組織中薬剤蛍光計測の臨床研究を実施した.タラポルフィンナトリウムのSoret帯吸収を青色LED(波長409 ± 16 nm)で励起し,タラポルフィンナトリウム蛍光を計測することで皮膚組織中薬剤濃度を評価した.本研究では臨床結果を説明する薬物動態モデルの構築により連続的に皮膚組織中薬剤濃度を推定し,皮膚光線過敏症発症リスクの高い時間帯を明らかにした.

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