日本レーザー医学会誌
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子宮頸部初期病変に対するフォトフィリンPDT治療後の妊娠における産科学的経過~子宮頸部円錐切除術と比較して~
田坂 美恵 金子 久恵甲谷 秀子
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論文ID: jslsm-40_0046

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抄録

当院では,子宮頸部初期病変(上皮内癌または高度異形成)に対する子宮温存治療として,フォトフィリンPDT療法(以後,PDT療法)を,2004年から導入し81例に施行した.全例に再発は認めていない.そのうち27例が妊娠に至り,総妊娠数は46例である.今回PDT療法後に分娩した21例と,子宮頸部円錐切除術施行後に分娩した17例について,後方視的に周産期予後を比較検討したので報告する.結果は,円錐切除術後妊娠の初産婦は,早産率と緊急帝王切開率が高く,経産婦は分娩週数が早くなっていた.一方,PDT療法後妊娠の初産婦は,早産率は低いが,分娩時出血量が多いことがわかった.分娩時間について有意差は出なかったので,Friedman曲線を標準とした分娩経過図を示し,検討した.結果,PDT療法後分娩は,前駆陣痛期が長いが,分娩第1期は遷延しないことがわかった.一方,円錐切除術後の分娩経過は,標準と比べて早い傾向にあった.PDT治療後の妊娠経過は,早産に至った症例はなく良好と考える.更に分娩経過は,緊急帝王切開率が低く良い点もあるが,分娩時出血量が増加する傾向があるため,注意が必要である.今後も,PDT療法後の周産期予後の向上を目指して,より安全な管理を模索していきたい.

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